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抗血小板薬と抗凝固薬の違い 

 

抗血小板薬

  • 主に動脈塞栓に対して使用される。
  • 血小板が分泌するTXA2,ADPをブロックし一次凝集をstop
  • 主な薬剤は、
  1. COX阻害薬:アスピリン
  2. ADP受容体阻害薬:チクロピジン、クロピトグレル、プラスグレル
  3. PDE阻害薬:シロスタゾール
  4. P2Y12受容体阻害薬

抗凝固薬

  • 主に静脈血栓に対して使用される
  • フィブリンの産生を抑制
  • また心房細胞による血栓形成を阻害する
  • 主な薬剤は
  1. 未分画ヘパリン(unfractionated heparin: UFH):アンチトロンビン(AT)に作用し、その活性を1000倍にし、トロンビンがフィブリノーゲンをフィブリンに変換する作用を強力に抑制する。さらに、UFH-AT複合体は第Ⅹa因子も抑制し、さらに抗凝固作用に貢献する。UFHは消化管から吸収されないので、静脈注射により投与される。薬物の投与速度は抗凝固作用のチェック(APTT)により頻回に行って決める。適応として、不安定狭心症、NSTMI、急性心筋梗塞血栓溶解療法後、肺塞栓症入院患者。ヘパリンの最大の副作用が出血である。これは硫酸プロタミンで対応する。ヘパリン起因性血小板減少症も副作用の一つ。ヘパリンナトリウム
  2. 低分子ヘパリン(low molecular weight heparin: LWMH)。特徴は以下の4つ。血小板に結合した第Ⅹa因子を抑制でき、UFHより抗凝固作用が強い。血漿タンパクや内皮細胞との結合が少ないので、生体利用率が予測可能で半減期が長い。血小板機能に出血の合併症が少ない。免疫反応の関与するHITの頻度が少ない。臨床適応は、股関節・膝・腹部手術の深部静脈血栓予防、DVTの治療、ACS(急性肝冠症候群)の治療。
  3. ワルファリン:ビタミンK依存性凝固因子の産生を阻害
  4. DOAC:トロンビンを直接、間接的にまたは第Ⅹ因子の阻害。出血のリスクを伴う。ダビガトラン、リーバロキサバン

 

文献

川名正敏, ハーバード大学テキスト心臓病の病態生理, 4版, メディカルサイエンスインターナショナル,467-476,2017