抗腫瘍薬 2
最近は、腫瘍を1つの科でみるのでなく横断的に診察しようとする動きがあります。うちの大学は腫瘍内科というのですが、他の大学はどうなんですかね。ちなみに欧米では既に腫瘍専門の科が独立しています。ハリソンでも腫瘍というカテゴリになってますから。
1つの腫瘍とっても受容体が同じなら他の腫瘍と同じように治療することができることが分かってきたので、だから日本でも横割的な科が出現してるのかなと思います。
バイオマーカー
BCR-ABL遺伝子:イマチニブ、ダサチニブ、
ニロチニブ
CD20:リツキシマブ
ALK遺伝子:クリゾチニブ、アレクチニブ、セリチニブ
EGFR遺伝子:ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、オシメルチニブ
RAS遺伝子:セツキシマブ、パニツムマブ
HER2過剰:トラスツヅマブ、ラパチニブ、ベムラフェニブ
BRAF/V600変異:ベムラフェニブ
KITタンパク:イマチニブ
現在肺がんの化学療法は、非扁平上皮がん非小細胞がん、扁平上皮がん、非小細胞がんの3つに分かれて治療をするようになってきてます。
乳がんは3つの区分で考えられていて、
- HER2
- Estrogen / Progesterone: ホルモン受容体
- triple negative
があります。
- triple negativeは化学療法の適応で抗HER2療法は不可
- ホルモン陽性HER2陰性は内分泌療法ないし化学療法
- HER2陽性は乳がんの約20%にみられ、トラスツヅマブが適応。有害事象に心毒性がありアントラサイクリン系との併用はせず、タキサンを使用。トラスツヅマブは初回投与24時間以内に40%の頻度で発熱、悪寒、戦慄などのinfusion reactionを起こすが、2回目以降はその頻度は下がっていく。
術前化学療法(ナブとも略される):手術する前にdown staging目的で薬物療法を行う。食道がん、膀胱がん、乳がん、喉頭がん、胚細胞腫瘍、小児固形腫瘍に有効とされる
術後化学療法(アジュバントとも言う):手術、放射線療法などの局所治療後に再発予防目的で、薬物療法をする。乳がん、胃がん、食道がん、大腸がんなどに有効性あり
最近話題のオプシーボのニボルマブ、これは腫瘍細胞が発現するPD-L1により白血球からの攻撃をエスケープしてるんですけど、これを白血球側に認識させないで、つまり腫瘍細胞のPD-L1に薬剤をくっつけ、エスケープ反応を無効化する機序になっています。
逆に白血球側のPD-1をブロックすることで膠原病の過剰発現する自己抗体をエスケープさせる逆の手法も膠原病内科では実施されてます。
エスケープする、させないの2つのやり取りが採用されています。
まだあまり商品としては際立ってないのですが、CTLA4阻害薬も上記の機序と似ています。
こういう薬たちをちまたでは、免疫療法というのですが、ホントは免疫チェックポイント療法といいます。
うさんくさい免疫療法には気おつけましょう。
ここで話が飛ぶのですが、肺小細胞癌って神経内分泌腫瘍ともされてて、ACTH, ADH, PTHrPな土を分泌し、異所性のCushing, SIADH, 続発性高カルシウム血症を発生させます。USMLEの呼吸器でやたら問題になってました。国試でもSIADHはまぁ頻出な程度だったんで、どこの国でもSIADHは重要なんだなと思いました。
腫瘍に伴う皮膚疾患をデルマドロームと呼び、皮膚は全身を映す鏡とどこかのサイトで書かれてました
今医龍読み出したんですけど、今はバチスタ手術はしないのですが、主人公たちの生き様がカッコいい!!!腐ってない感じがとくに。
下の医大生というところをクリックしていただければ嬉しいです。
毎日の記事更新の励みになります。