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case 37-2018

 

 case37-2018

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMcpc1807501

 

23歳女性

 

C.C.

視野欠損,視界不良

 

既往歴

偏頭痛

他に特記すべき異常なし

 

現病歴

入院6日前、偏頭痛とは違う痛みが右前額、右眼の眼窩付近に発生

入院5日前、視野の変化に気づいた。右視野に灰色のdotが出現、機械によると6cm程度。そのあと、間欠的な右眼の視野欠損が発生。45~60秒ほど白い靄が視野の一部に映った。眼球運動の痛み、浮遊感、閃輝暗点は認めなかった。

入院3日前、眩暈がなんどか発生。部屋がグルングルン回る感じが30秒ほど続いた。眩暈は頭位の変化では発生しない。1日に1~2回間欠的にいたるところに頭痛が発生。顔面麻痺、眼球運動による視野欠損、他の異常はなかった。このとき、以前のgray dotはかわらず視野に存在していた。

 

入院時現症

バイタルはBT 36.6, RR 18, HR 79, SpO2 99%, BP 103/64

視力は2.0, 2.0

色盲検査に陽性、瞳孔は正常反応、眼圧は正常、細隙灯にて異常所見無し、RAPD:relative afferent pupillary defect陰性、眼房水の通り道も閉塞無し、眼底所見にて黄斑部に白色病変。眼振は認めず。

 

入院3日目

右耳の聴力低下、感音性難聴

左右の鼓膜の動きは良好

入院4日目

眼底の詳細な検査と、フルオルセイン染色の実施し、網膜病変を調査した。網膜の中心窩から黄斑にかけて白色病変を認めた。フルオルセイン染色では血管からの造影剤の漏れが認められた。

 

既往歴 続き

16年に及ぶ偏頭痛、光に過敏で睡眠で落ち着く。

血栓症、流産、高血圧、高脂血症、自己免疫疾患、薬剤のアレルギーはない。脳卒中、過凝固疾患、心疾患はない

 

検査

電解質、糖、HbA1c、サイロトロピン、CRP、ホモシスタチン、腎機能、肝機能、PT、INR、APTT、CBC、ESR正常、プロテインS、プロテインC、アンチトロンビンⅢは正常、ループスアンチコアグラント陰性。ANCA陰性、 β2-グリコプロテインIgM, IgG陰性

腰椎穿刺:無色透明、圧は13cmH2O、糖は62mg/dL、総蛋白は77mg/dL

 

服薬歴

etonogestrel implant. ←については以下参照

www.kaigai-explorer.com

皮膚植え込み型の避妊薬分泌装置。日本は婦人科領域、避妊領域でなぜ海外に出遅れてるんだろう。と思う。日本人の社会性が問題なんですかね。学会が推奨したら良いのに。選択し増やさない理由が僕にはわからないです。

 

家族歴:書いてなかった

 

社会歴:家庭向けの看護師として働く、1人暮らしで、1人の男性と性交渉。たばこ、アルコールはとらない。

 

鑑別疾患

 

僕の鑑別として、

腰椎穿刺で、タンパク細胞解離が認められたので、GBS, MS, CIDPtとかの脱髄性疾患なのかなと思っていました。他には本症例では、右側の障害が前面に出ていました。右眼の視野欠損・右耳の感音性難聴など。視野の障害に絞ってみると、片目だけの異常なので網膜から視交叉までに病変があるのではないかなと思いました。これを球後視神経炎と言います。感染症、炎症、薬剤性(抗結核薬のエタンブトールが有名ですね。。。)とかが球後視神経炎の原因だそうです。でも、まず頭部のMRIかCTをとって脱髄斑とかを確認したい。アトピー性皮膚炎の既往があれば、網膜剥離が考えられるのですが、眼底所見を読んでみるとそれらしくないような

 

NEJM的鑑別

視神経の異常はどこにあるのかを調べていました。両目の異常なら、視交叉より後ろの神経回路の異常。片目の病変なら、視交叉以前の経路の病変である。

視神経炎では視力低下が認められるはずだがこの症例と合致しない。色盲検査の間違いは、網膜上の病変が原因ではないかと考えた。片方の眼の急激なにはRAPDが認められるがそれもこの症例では確認できなかった。

眼底所見からBRAOが疑われた。この原因にを掘り下げる。

塞栓物質:コレステロール血栓、過凝固状態、石灰化

などがある。

感染症:梅毒、ウイルス感染、結核トキソプラズマ、真菌感染が上がる。STIの要素はなく、免疫不全状態ではないので、以上の感染症ような疾患は除外できる。

自己免疫疾患:ベーチェット病、SLE、ANCA関連血管炎、Eales's synd, サルコイドーシス、Susac's syndがあがる。

知らない疾患が2つあるなーー。

皮膚疾患、口腔所見、陰部所見が無いのでベーチェット病は否定。同様にSLEも除外。血管炎は、結節性血管炎は視神経病変をあまり認めなく、ANCA陰性のため他の血管炎の可能性も薄い。EAles's syndは若年のインド人に多い。結核菌のタンパクに対する過剰免疫反応が原因とされる。これもこの症例にらしくない。サルコイドーシスは、肺病変、皮膚病変を認めないため、らしくない。

 

この症例のKEYとなる症状は

眩暈 +

眼振 -

===>前庭の異常

それとBRAO

からSusac's syndと考えられる。

 

discussion 

この症例では、MRIT1にて、脳梁の低信号を認める。FLAIRでは高信号。DWIでも同部位が高信号となった。

Susac's syndは網膜・蝸牛・脳の微小血管病変をきたす自己免疫疾患である。3徴候は、BRAOによる視野欠損・感音性難聴・脳機能異常である。この3つがそろうことは少なく、そろっている場合は病状が進行していることを意味する。偏頭痛とは異なる頭痛は、上記の画像所見にある病変のヒキツレが周囲の神経細胞を刺激したために発生したのではないかと考えられる。

 

病態は不明であり、分かっていることは、免疫細胞の過剰反応とされている。なので、その活動をとめるステロイド治療が実施される。もし、治療中に再発した場合、リツキシマブを使用する。経過観察には1~3か月ごとに頭部MRI、眼底検査、聴力検査を行うことが必須となっている。あまり症例が多くなく、治療法、経過観察でのフォローは手探り状態。

 

まとめると、

Susac's synd は視力低下を認めない視野異常、感音性難聴、濃病変を認める疾患。

Susac's syndについてまとめてるブログがこちら。

blog.livedoor.jp

 

脱髄性疾患を疑っていなかったけど、これは視力低下がなかったからだろうか。

 

勉強になったこと

あまりないなー。Susac's syndって有名なのかな。ハリソンに乗ってなかったけど。。。

 

疲れたーーかき出すの!

 

 

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