case 35-2012
case 35-2012
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc1215216
69歳男性が、虚脱、食欲不振、全身の疼痛を主訴に来院
というタイトルのCase reportです。
冒頭
69歳男性
主訴:虚脱、食欲不振、転倒、びまん性の疼痛
現病歴:
20か月前に腎移植を実施。糖尿病性腎症と、糸球体硬化症による腎不全による。移植後に、抗胸腺細胞グロブリン、タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル:MMF、プレドニゾロンを使用。
19か月前から冠動脈の3枝病変から、バイパス手術。以後来院までの18か月間に繰り返す胸骨骨髄炎を発症。
13か月前、BKウイルス陽性。BKウイルスとは、
経口感染であり95%の人が10歳までに自然感染をし、感染後軽い上気道炎を示すのみであり目立った症状は示さないが、ウイルスは尿細管上皮に潜伏感染し、腎移植、骨髄移植といった免疫抑制下で再活性化され、日和見感染を起こす。腎移植では尿管狭窄、腎炎など重篤な臓器障害を起こす場合が多い。
wikiより
だそうです。ポリオーマウイルスの一種だそうです。
11か月前に移植腎の機能低下、うっ血性心不全を認めた。腎生検では糸球体腎炎の像を呈し、炎症細胞の浸潤を認めた。血漿交換、プレドニン、リツキシマブの投与。
5か月前
疲労感の増強、食欲不振、活力低下、くりかえす発熱と悪寒。転倒をしたが画像上で異常なし。
6.5週前、両脚に広がる疲労感の増悪と、びまん性の虚弱。転倒した。
6.5週前から入院するまでに、慢性疼痛と食欲不振はさらに増悪し、体重は9.1kg減少。下腹部痛、便秘、吐気、尿意の減少
入院4日前、抑うつ、頭髪が減る
入院前日、会話の滞り、眠気
既往歴
服薬歴
タクロリムス、MMF、プレドニゾロン、フルコナゾール、アムロジピン、カルベジロール、イソソルビド、モノニトレイト、NSAIDs、フロセミド、フェンタニルパッチ、オメプラゾール、インスリン、フルドロコルチゾン、軟便薬、吸入ステロイド
ポリファーマシーっていうですかね。薬を使う、その薬の副作用の予防に違う薬を使用。。。このスパイラルで大量の薬を高齢者が服用していく。この状態の患者に対して、薬の数を減らすことが大事です。多くは高齢者で、医師は患者のコンプライアンスを考慮しなければなりません。医療経済から見ても大事なことみたいです。
多剤併用により、診療科が異なる場合などの複数の処方、アドヒアランスの低下などのさまざまな要因により、予測不可能な有害事象が起こる可能性が高くなります。
このようなポリファーマシーを防ぐため、病院などでは老年科担当薬剤師の設置、処方カスケードを減らすなどの対処をしています。また、外来患者が多い昨今では薬局での薬剤師の役割が重要となってきます。
薬局では、かかりつけ薬局、かかりつけ薬剤師の時代になり、処方薬の一元管理、そして市販薬の服薬状況、お薬手帳の説明と有効活用、服薬コンプライアンスの向上のための一包化さらにOD錠などへの剤形変更でのアドヒランスの向上、併用薬の相互作用などのチェックなどを積極的におこなっています。
今後のさらなる高齢者増加にそなえ、医療関係者はポリファーマシーの減少に努力しています。
家族・社会歴
現症
- 眠そうだけれど活気はある。
- バイタルはBP 93/45, HR 43 , BT 36.0, RR 16, SpO2 99%,
- 心電図 正常、洞調律、44回、
- CXR、頭部CT 特記すべき異常なし
入院時のバイタルは、
- BP 83/35, HR 40
- 低血圧、徐脈があり、敗血症、心不全などを疑い、抗菌薬を投与
- 経胸壁心エコー検査では、駆出率は64%、右室収縮期圧力が68 mmHg
- 血中タクロリムス値は基準値以下
鑑別疾患
僕の考えは、
腎移植による免疫抑制剤の使用から、ステロイドの副作用がおきているのではないかと考えました。
医原性Cushingではないかと。
他には、甲状腺機能低下症、感染症などがあります。甲状腺機能はちょっとFT4、サイログロビンを計測しないとわかりません。
感染症も考えられるのですが、炎症所見が乏しいかな。
qSOFAは、RR22回以上、SBPが100以下、意識障害の2/3以上で満たされるのですが、満たしてませんでした。
しかも、WBCはそこまで上昇してない。頭髪が抜ける疾患って何だろうと思い、調べました。
これに徐脈、低血圧をきたすものを考えると
内分泌疾患かつ機能低下症。じゃないかなという。
NEJM的な鑑別
薬剤性:
- タクロリムスの副作用は腹痛、食欲不振、禿頭、徐脈であるが、血中のタクロリムス値が基準値以下なのでruled out
- MMF,ミコフェノール酸モフェチルの副作用は、筋肉痛、腹痛、徐脈、虚脱であるが、本症例では中毒量の投与は無かったため除外。
- ポリファーマシーの状態は確かに否定できなく、これも原因の1つではないかとされる。
感染
悪性腫瘍
- 免疫抑制で悪性腫瘍が出現するケースが少なくない。腎移植の1/5に1年以内の腫瘍発生リスクが生じる。皮膚がんが多い。
- 移植後の疾患にPTLDがあがり、1%に認められる。(ふつう上がらないでしょwww)
- 勉強したい人は、NEJMにreviewあるので見てください。移植後に感染ポイ症状で、肉芽腫形成するんだけど、感染徴候はない疾患です。意味わからないですがそうゆう病気らしい。
- しかし、禿頭、徐脈、低血圧に合致しない。ruled out
内分泌疾患
- 副腎不全が考えれるが四肢末梢の色素沈着を認めないことで除外。血中ステロイドの値測れば一発でわかるはずなので。ステロイドの計測は朝一番にとりましょう。一日で朝が一番分泌されているからです。
- つぎに、甲状腺機能低下症。皮肉にも移植と全く関係疾患である。書いていた。腎不全の尿毒症で、発生したのではないかと考えていました。
- 血中FT4を計測すると低値であり、サイロトロピンは高値だった。
治療は、レボサイロキシン投与
今回、症例レポートを読んで学べたこと。
- 非特異的な症状はあまりあてにならない。
- 今回は、低血圧、徐脈、脱毛が主力症状でした。
- 疲労感、虚脱はあまり役に立たなく、こういった症状は検査値と併せてみていって、鑑別を絞るものなんですかね。。。
私の近況
まぁいいや。
疲れた。3連休も半日しか休めないし、バイト忙しいしwww。でも今週はゆるポリなので、インプットかつアウトプットしていきたいっすね。今週平日にバイトは入ってたらちょっとやばかったかもな。落合先生のようなパフォーマンスがあればいいんですが。眼窩部痛がひどいです泣
購入した本
アウトプット大全という本の冒頭に、アウトプットしましょうと書いてあったので、僕も頑張りたいです。。。インプット:アウトプットは3:7にしようと書いてありました。僕はインプット人間だったので、アウトプットをブログか何かで消化していきます。
学びを結果に変えるアウトプット大全 (Sanctuary books)
電車の中、iPadからキンドルで本読んでるとなんか自分も電子書籍読むようになったかとなんかうれしくなってます。かなり変態ですね。プライムstudentで紙の本買ったも、キンドルで本買っても割引額が同じだと知りました。これみんなしってるもんなのかな。。。
学会へ行きますーー
1月26日の日本糖尿病学会関東甲信越地方会に行くのです~と医局の先生に話したら、当日のパンフレットいただきました。おすすめはないけど、巻末の抄録みて聴いてきて頂戴と。ありがとうございます。勉強してきます。
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