uta-4city 医大生ブログ

医学生、日々の勉強をまとめてます

プライマリケア医のための糖尿病診療入門 読了

 

糖尿病 diabetes

 

本書を読む前の僕の2型糖尿病に対する認識は

体の組織のインスリン抵抗性が高まることで、血中のグルコース濃度が高まり、その高濃度のグルコースにより様々な組織障害を起こす。

でした

 

この本読んで、これ以上の知識が勉強できました。

 プライマリケア医のための糖尿病診療入門

 

3年の糖尿病代謝の授業からというより、そこまでの授業で必ず糖尿病による無症状性心筋梗塞、糖尿病性腎症、糖尿病網膜症、認知症、壊疽という”糖尿病”が付きまとわっていて、当時の僕は糖尿病をしっかり勉強するとどこでも繋がりができるなと思っていました。

 

この本を手に取ったきっかけは岩田健太郎先生がおすすめしていたからです。

また他の先生も絶賛していました。

https://bookmeter.com/books/13197200

https://pulmonary.exblog.jp/27614051/

 

・この本の良いところ

章末のPOINTで4つほどその章で大切な考えがまとまっていた。

プライマリケア医向けの本なので、ポリファーマシーについての危惧が述べられていた。

多くの著名な先生との対談記事が掲載されてた。

 

・まず糖尿病治療薬について

学生的には、糖尿病治療薬はたくさんあって何が1番大事な薬なのかがハッキリしてないです。

 

・実臨床では、メトホルミンが最適と記載されてました。(前期に糖尿病勉強会で大学教授がメトホルミンがやはり1番良いねと話されてた事を本書を読んで思い出しました。)この理由は他の薬剤に比較してメトホルミンの利点が勝っているからです。

・メトホルミンの利点は、

心血管死を減らす

単独で低血糖を起こさない

体重を増やさない

食欲抑制作用がある

中性脂肪、LDLコレステロールを下げる

安価

であることです。

 

・メトホルミンの副作用は

胃腸症状(悪心、嘔吐、食欲不振、下痢、腹部膨満)

ビタミンB12欠乏

を挙げていました。

 

・当初メトホルミンは乳酸アシドーシスを起こすと恐れられてました。しかし、それは禁忌例(手術直後、肝硬変、腎機能低下、感染症、80歳代で寝たきりの方など)で生じるというのが現在のコンセンサスだそうです。さらに75歳以上での新規のメトホルミン投与は控えるそうです。

 

 

・最近心機能に良いと話題のSGLT2阻害薬については、まず高価でeGFRが45を切るなら推奨されないという点でメトホルミンに劣るそうです。

SGLT2阻害薬の効能として

心血管疾患の予防や腎機能保護効果に期待が集まりますが。。。長期のEvidenceが無く専門医以外は闇雲に処方するのは控えようとなっていました。

SGLT2阻害薬の副作用として脱水、尿路感染症、ほぼ正常血糖のケトアシドーシスサルコペニアが挙っていました。

国内で販売されてるSGLT2阻害薬は、イプラグリフロジン(スーグラ)、ダバグリフロジン(フォシーガ)、ルセオグリフロジン(ルセフィ)、トボグリフロジン、カナグリフロジン、エンパグリフロジン

 

・SU薬はあまり使いたくないという感じが本を読んでて伝わってきました。

 

・医師と患者の感じている金銭感覚の差について対談されてました。こーゆうことも医師は考える必要があるのかと知りました。

 

・糖尿病による合併症として以下の疾患が挙げられてました。

DKA

HHS

低血糖(治療による)

壊死

脳梗塞

狭心症

認知症(アルツハイマー型と脳血管性)

COPD

易感染性(血糖値が250以上だと白血球は働きにくくなる)

癌(膵癌、大腸癌、肝癌、子宮内膜癌etc)

腎、網膜、神経

 

・手術前の血糖コントロールが術後合併症を軽減する。

 

低血糖はなるべく避ける。

特にSU薬は遷延性の低血糖を起こす危険がある。死亡する危険あり。

低血糖になると転倒します。転倒して骨折します。患者のADLが大変下がる。

もし低血糖疑いがあれば、簡易血糖測定器を使用する。

シックデイについて家族とともに話す。

 

・効果だけでなく、継続性も重要

 

大変勉強になりました。

 

岩岡秀明先生、ありがとうございました。